ISO27001(ISMS)ありがちな規格解釈の失敗事例

情報セキュリティの本質を逸脱しかねない解釈例−「もっと詳細に」「すべて文書化」

情報セキュリティマネジメントシステムというと、不必要なまでにマニュアルを作成したり、規格の内容を全て網羅しようとする事例が数多く見られます。 当社でおすすめする「シンプルな考え方」は、中身が薄いということではありません。 自社にとって重要な情報資産は何か、どのようなリスクが考えられるか、しっかりとポイントを押さえた上で、無駄なマニュアルやオペレーションはできるだけ省くことが重要です。 ここでは、何もかも網羅しようとする迷惑な規格解釈の一例をご紹介します。

1:情報資産をもっと細かく分析・評価しなさい

情報資産台帳をどこまで詳細に作るかは、企業独自の判断で構いません。大事なのは、この台帳を作成・メンテナンスすることではなく、作成・メンテナンスすることで情報資産の種類、多さ、重要度が確認できることです。

2:規格要求事項のセキュリティマニュアルを作成しなさい

マニュアルは現場で使われてこそ意味があります。文書化の要求の有無を正確に理解した上で文書化を実施しましょう。規格で要求されていない点について指摘を受けた場合は、企業にとって本当に必要かどうか、審査員と規格を元に議論すべきです。

3:リスク分析、評価はスコアリング(数値化)でやりなさい

リスクの受け入れ基準が明確で、管理策の選定ができるような方法を体系的に実施できるのであれば、数値化は必須ではありません。この際、トップの考えを早めに反映できる仕組みを構築することが重要です。

4:トップが判断するのだから、リスクは金額で出しなさい

リスク受け入れ基準は明確にすべきですが、表現方法は自由だと解釈できます。数値で示す方法もあれば、文章などで定性的に示す方法もあるでしょう。

5:ISO27001(ISO27001(ISMS))を支える手順はすべて文書化しなさい

ISO27001(ISMS)を支える手順として何をマニュアルに含めるか、必須のもの以外は企業が決定できます。何を文書化し、何をマニュアル不要(実行のみ)とするかは、文書体系などを整理してから文書化を進めるとよいでしょう。

6:運用宣言書は対策をすべて詳細に書きなさい

規格では詳細に記入せよとは要求していません。自社で行っている管理策を詳細に記述するということは、見方を変えると弱点も明確になってしまうということです。そのような文書が存在することは、厳重に管理するとしても、自社の情報セキュリティにとって逆にリスクになりかねません。

7:施設のセキュリティではエアコンもリスク分析の対象です

「エアコンが故障するとサーバの動作が不安定になったり、停止したりする可能性がある。エアコンについてリスク分析していないのはおかしい」という指摘が出された例があります。しかしサーバ停止や環境変化のリスクを分析に含めているのにエアコンだけ抜き出して分析するのは「やりすぎ」と判断してよいでしょう。

8:管理策はすべて選択しなさい

付属書Aの管理策の選択作業における解釈例です。しかしこれは「形だけでも全部やっておく」ことになり、ISO27001(ISO27001(ISMS))の本質から外れています。自社のリスクを把握した上で、付属書Aの管理策はリスクを減少させるために参考にする、という発想が大切です。

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